2006年03月17日

短編集E 『タバコ』解説

この作品は、去年の年末あたりに思いついた作品です。

自分もタバコを吸っているのですが、今になってみれば何で吸っているのか、まったくわからないのです。

体に良くないとわかっているのに、お金も結構かかっているのに・・・

たぶん、タバコを吸っている人で、タバコを吸う理由が特にないという人も少なくないと思います。

そういう人達の生き方の一部を少し描いてみたいな・・・と思い、この作品を書いてみました。
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短編集E

タイトル『タバコ』

親父が入院したって話を聞き、病院にきた。
病院って所は何処に行ってもタバコが吸えない。
吸える所と言えば、病院の人間の目が届かない屋上ぐらいしかない。

屋上で吸うタバコっていうのは高校の時以来だ。
同級生に誘われ、初めて吸ったのが学校の屋上。最初は大してウマイと思わなかったが、いつの間にか毎日吸うようになっていた。

俺も親父と同じでただのバカなのかもしれない。
親父はタバコの吸い過ぎのため、肺ガンで下の病室に入院している。
そのうち俺も肺ガンになって入院するのだろう・・・

俺が今吸っているタバコは『MILD SEVEN』。何の因果か知らないが親父と一緒のタバコだ。
小さい頃、俺はこのMILD SEVENが嫌いだった。

親父は所構わずMILD SEVENを吸っていた。食卓、リビング、トイレ、廊下、そのすべてでタバコの臭いがした。
幼かった俺はその臭いが嫌いで、毎日タバコを吸う親父にムカついてた。
リビングでテレビを見ながら親父がタバコを吸い始めると、俺はいつも咳払いをして別の部屋に行った。
そういう思いもあり、小さい頃に親父と親子の会話をした記憶があまりない。

そんな親父に一度だけキレた事は今でも覚えてる。
リビングで当たり前のようにタバコを吸う親父に我慢できなくなり、「お前のタバコはみんなが迷惑してんだよ!吸うんだったら、迷惑かからない所で、1人で吸えよ!」と言った事だ。
俺がその言葉を言った後の親父が、どのような表情をしていたかは覚えていないが、その日から親父は車の中でタバコを吸うようになった。

タバコを普通に吸うようになった今、あの時、俺に言われた親父の気持ちが、なんとなく分かる気がする・・・

「ガチャ!」(屋上のドアの音)

「こんな所で何やってんだ?」
「・・・親父・・・寝てなくて大丈夫なのか?」
「大丈夫に決まってんじゃねーか・・・もう退院らしいしよー!」
「・・・・・・」
「・・・なぁ・・・タバコ一本くれねぇーか?」
「何言ってんだよ!手術したばっかじゃねぇーか!」
「・・・イイじゃねぇーかよ・・・一緒に吸おうぜ・・・」

やっぱ、バカなんだろう・・・親父も・・・俺も・・・


−完−
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